とうこう登高
風急天高猿嘯哀
渚清沙白鳥飛廻
無辺落木蕭蕭下
不尽長江滾滾来
万里悲秋常作客
百年多病独登台
艱難苦恨繁霜鬢
潦倒新停濁酒杯
渚清沙白鳥飛廻
無辺落木蕭蕭下
不尽長江滾滾来
万里悲秋常作客
百年多病独登台
艱難苦恨繁霜鬢
潦倒新停濁酒杯
詩
※日本で一般に読まれている本文によります。
書き下し文
風急に天高くして猿嘯哀し
渚清く沙白くして鳥飛び廻る
無辺の落木は蕭蕭として下り
不尽の長江は滾滾として来たる
万里 悲秋 常に客と作り
百年 多病 独り台に登る
艱難 苦だ恨む繁霜の鬢
潦倒 新たに停む濁酒の杯
現代語訳
風は激しく空は高く、猿の鳴き声が悲しい。渚は清く砂は白く、鳥が輪を描いて飛ぶ。際限のない落ち葉がさらさらと散り、尽きない長江が滾々と迫ってくる。万里の悲秋に、いつも旅人の身。百年の多病で、ひとり台に登る。艱難に苦しんで霜のような鬢を恨み——落ちぶれて、濁り酒の杯まで新たに止めてしまった。
原文と書き下し文の対照
風急天高猿嘯哀 ― 風急に天高くして猿嘯哀し
渚清沙白鳥飛廻 ― 渚清く沙白くして鳥飛び廻る
無辺落木蕭蕭下 ― 無辺の落木は蕭蕭として下り
不尽長江滾滾来 ― 不尽の長江は滾滾として来たる
万里悲秋常作客 ― 万里 悲秋 常に客と作り
百年多病独登台 ― 百年 多病 独り台に登る
艱難苦恨繁霜鬢 ― 艱難 苦だ恨む繁霜の鬢
潦倒新停濁酒杯 ― 潦倒 新たに停む濁酒の杯
鑑賞
八句すべてが対句という緻密な構成で、雄大な秋景色と老いた詩人の悲しみを重ねます。古くから「古今七言律詩の第一」と称されることもある名作です。
日本で親しまれる理由
「無辺落木蕭蕭下、不尽長江滾滾来」
語句
- 猿嘯
- 猿の鳴き声
- 蕭蕭
- 木の葉の散る音
- 滾滾
- 水が尽きず流れるさま
- 登台
- 重陽に高台に登る
- 潦倒
- 落ちぶれる
作者
杜甫の生涯と作品一覧は作者ページへ。
作られた背景
大暦二年(767年)重陽の日、夔州(いまの重慶市奉節)での作とされる。